Howto use SCOPUS and manage bib. data (japanese only)

文献検索をする機会は頻繁にありますが、検索結果をきちんと整理してまとめておくのは意外と大変です。

以前はINSPEC(Ovid)を利用する方法を紹介しましたが、2007年3月末で利用できなくなるようですから、ここでは、熊本大学図書館から利用できるSCOPUSを使って、文献情報を収集する方法を紹介します。 また、この情報を論文に引用する際に便利な方法としてbibutilsを用いる方法も、簡単ですが、紹介しましょう。

まず、SCOPUSを利用してみましょう。 熊本大学図書館からのリンクを辿るか、直接SCOPUSのサイトへアクセスします。 ただし、学内のIPからでないと利用できませんので悪しからず。:-p

一番簡単そうなBasic Searchを利用してみましょう。 上に示すような入力画面が表示されますから、Search for の右のテキストボックスに検索したいキーワードを与え、その右のプルダウンメニューでキーワードの属する範疇を選択します。 図では、”kiteplane"というキーワードを論文タイトル、概要、キーワードに含む文献を検索しようとしています。 著者で検索する場合は、"Kumon, M" のような書き方をする必要があるので、ちょっと癖がありますが、プルダウンメニューで属性を変更すると、テキストボックスの下の入力例が変化するので2、3入力してみればすぐに慣れることでしょう。 最近の論文に限って検索したいのであれば、さらに下の方にラジオボタンなどの入力欄がありますから、これを利用しましょう。 この部分も特に迷うところはないでしょう。 (どのような値を入れると自分の希望する文献が得られるかという意味では、いろいろテクニックがありそうですが、そういう難しいことはここでは触れません)

さて、検索したい内容を入力したら、すかさず "Search" のボタンを押します。 すると、上図のような検索結果が得られます。ちょっと時間がかかることもありますから、気長に待ちましょう。

上から雑誌などの出典毎のリスト、関連著者のリスト、出版年や文献の種別などを選択する欄があります。例えば、ここでKumon, M. の著者のチェックボックスをチェックして、"Limit to" を押せばこの検索結果から "Kumon, M." が著者の文献だけに絞りこむことが出来ます。(上図では全て Kumon, M. の著作なので全然意味ないですが・・・もっとkiteplane関係の論文を他のひとが書いてくれるようになれば効果もあるでしょう 閑話休題) 中段からが目指す検索結果です。2件検索結果がありました。 タイトル、著者、出版年、出典、被引用数が表示されています。 普通はもっとたくさんの検索結果が表示されるでしょう。 タイトル下の View at Publisher を使えば、学内からアクセスできるオンラインジャーナル等であればそのまま目的の文献を表示してくれます。 内容をおおまかに知りたいのであれば、Abstract + Refs を利用しましょう。 オンラインで読めない文献で必要なものがあれば、相互利用ILLなどを利用して文献の複写を取り寄せることも可能です。

知識を十分に蓄え、研究も順調に進めば、論文などに成果をまとめて発表することになります。 それまでの先人達の積み上げてきた種々の成果の上に構築された成果であれば、先人達に敬意を表するとともに、読者に自分の研究成果の背景となった成果を伝えるためにも、参考にした文献は参考文献として論文中に記載します。 この時、参考文献の一覧を整えるのはなかなかに面倒なことがあります。 ここまで、せっかく電子的に処理してきたのですから、この情報を生かさない手はありません。

そこで上図で示したように、必要とする文献のタイトル左側にあるチェックボックスをチェックし、Output を押します。 すると下図のような出力画面が表示されます。

一番最初の1の欄は出力先の選択です。 紙に印刷(print)や電子メール(e-mail)などにも出力できますが、ここは Export を選びます。 次に、Exportするファイルの形式を2の欄のプルダウンメニューから選びます。 ASCII TextやCSVなどで保存できますので、自分にあった形式で保存することが出来ます。

ところで、私は論文を書くときは普通はTeXを使います。 TeXにはBibTeXという文献データベースのツールがあります。 bstと呼ばれる文献リストのフォーマット定義ファイルを用意する必要がありますが、その他はほとんど自動的に文献リストのフォーマットを処理してくれるので、非常に便利です。 例えば、IEEE系の論文だと本文中で参照する場合は文の肩に番号を振りますが、IFAC系の論文では本文中に著者名、出版年を記載する、といった違いがあります。 こんなこと、いちいち著者が気にするのは本末転倒で、適切なbstファイルを用意して自動的に振り分けるのが正しい対応です。

さて、少し話が逸れましたが、ExportするフォーマットにRISという形式が選択できます。 EndNoteなどの専用のソフトウェアを持っている場合、この形式を選択することで文献データベースの活用が便利になるようですが、BibTeXのユーザにも御利益があります。 Bibutilsというツールを利用すれば、RISフォーマットのデータをBibTeXで活用できる形式に変換できるのです。 BibutilsはもともとXMLで文献情報を保存するための変換プログラムの集合ですが、RISからXML、XMLからBibTeXと変換することが可能です。

実際に、上で得られた文献情報を保存して処理してみましょう。 Exportする時に、どの程度の内容まで保存するかも選択できますが、ディスクが許すのならCompleteで全ての情報を保存することをお薦めします。 ここでは、上記の検索結果を scopus.ris というファイルに保存したとしましょう。

まず scopus.ris の中身を覗いてみると

$ less scopus.ris

TY - JOUR

T1 - Autopilot system for kiteplane

JF - IEEE/ASME Transactions on Mechatronics

JA - IEEE ASME Trans Mechatron

VL - 11

IS - 5

SP - 615

EP - 624

PY - 2006///

SN - 10834435 (ISSN)

AU - Kumon, M.

AU - Udo, Y.

AU - Michihira, H.

AU - Nagata, M.

AU - Mizumoto, I.

AU - Iwai, Z.

AD - Department of Intelligent Mechanical Systems, School of Science and Techno logy, Kumamoto University, Kumamoto 860-8555, Japan

AD - Fuji Xerox Company, Ltd., Mie 519-0393, Japan

AD - Nitto Denko Company, Osaka 567-8680, Japan

AD - Department of Electronic Control, Kumamoto National College of Technology, Kumamoto 861-1102, Japan

AB - This paper proposes an autopilot system for a small and light unmanned air .....

左が属性、右が値といった感じで保存されているわけですね。 次に、これを処理してXML形式に変換して、BibTeXで扱える形式まで持っていきましょう。

$ ris2xml scopus.ris > scopus.xml $ xml2bib scopus.xml > scopus.bib

$ less scopus.bib

Article{Kumon2006,

author="Kumon, M. and Udo, Y. and Michihira, H. and Nagata, M. and Mizumoto, I. and Iwai, Z.",

title="Autopilot system for kiteplane",

journal="IEEE/ASME Transactions on Mechatronics",

year="2006",

volume="11",

issue="5",

pages="615--624",

keywords="Autopilot",

keywords="Fuzzy control",

keywords="Kiteplane",

keywords="Unmanned air vehicle (UAV)",

abstract="This paper proposes an autopilot system for a small and light unmanned air vehicle called Kiteplane. The Kiteplane has a large delta-shaped main wing that is easily disturbed by the wind, which was minimized by utilizing trim flig ht with drift. The propos......

たしかにBibTeXで扱える形式に変換してくれました。 後は、これを自分の書いた論文から参照するようにすればいいわけですね。 もちろん、

$ ris2xml scopus.ris | xml2bib > scopus.bib

のようにパイプで処理してもOKです。

実は、今回の例ではris2xml の段階でいくつかwarningが出ていて、著者の住所などbibutilsが期待していないフィールドがあるようです。 この結果変換に際して情報が失われてしまうので、将来に備えてデータを保存するのであれば、RISフォーマットのまま残しておくのが良さそうです。